――展示用POP広告などを作成している高井さんに、網戸デコの楽しみ方をお聞きしました。

７色のデコ用「網戸パッチDECO」を使うことで、カラフルなデコレーションができるようになりました。
まだグレーしかなかった時は、色を塗ってみたりしたのですが、時間が経つと色が褪せてしまいました。
「網戸パッチDECO」なら色褪せの心配がないので、思いっきり楽しめると思います。

――網戸デコを作る際、コツなどはありますか？

作業する時は、網戸パッチは固いので、怪我をしないように十分注意してください。先がとがっているハサミで切るといいですね。
固いとやはり、円く切るのが難しいです。型紙を使う場合は、ホッチキスで網戸パッチに型紙を留めると、動かないので作業がしやすくなります。

ホッチキスでとめるとカンタン！

高井さん作成網戸デコ

――カラーの網戸パッチ「網戸パッチDECO」も発売され、おもしろい作品が作れそうですね。

今年は網戸パッチDECOで接着剤を使った重ね貼りを試してみました。網戸パッチどうしを接着剤で貼るのです。ただし、網戸に接する面は接着剤を使いませんので、取り外しは自由。
思い切った色やデザイン、大きさで作成してデコを楽しみ、夏が終わったらそっと外して秋の窓辺に模様替えしていただけます。

――取り外しできる網戸パッチならではですね。ありがとうございました。

主張しない方が
デザインが生きてくる

――タナカさんには、グレー単色だけで網戸パッチを発売した時に、サンプルデコを数種類作成いただきました。その時のご感想をお聞かせください。

発売されていたのはグレーのみでしたが、参考にとカラーパッチも数枚いただいたので、それも試してみました。
実のところ、カラーは思ったほど楽しくなかった（笑。僕らデザインのプロから言えば、網戸に合ったさりげない色の方がいい。グレーのように、主張しない方がデザインが生きてくる。はじめに網戸ありきで、さりげなくお客さんに気付いてもらうのが理想ですかね。

――素人にはちょっと難しいような気もしますが、単色でオシャレに見せるにはどのような方法がありますか？

ちょうどデザインを考える直前に、桂離宮を訪れたのが影響しているのかもしれませんね。
シンプルな網戸を活かしたデザインは、桂離宮のふすまをイメージしています。桂離宮はモダンシンプルな建築なんです。17世紀に八条宮家（桂宮家）の別荘として造営されたものなので、おもてなしの仕掛けがそこかしこにあります。お客様に月を見ていただくために作られたそうです。襖や建具にも現代に通じる簡素でしゃれたデザインがあります。そこから影響を受けて、市松模様のデザインを考えました。

桂離宮―松琴亭内観

タナカ氏作成「市松」

――なるほど。シンプルであることがおもてなしに通じるんですね。市松以外のデザインではいかがですか。

絵などの完成されたものよりも、幾何学的で単純な形は組み合わせやすいですよ。斜めであったり、一つの点々とした方向など。市松と同じ正方形を斜めに点々とつなげていくのもいいですね。つまり、シンプルなものの方がデザインとして認識されやすい、ということなんです。
また、シンプルなデザインは好き嫌いの対象になりにくいという利点もあります。並べ方ひとつで印象も変わってくる楽しみも感じてもらえるかと思います。
たとえば、自然が作り出す「並び」には美しいバランスを感じます。人の手によるデザインにはない、偶然が作り出す動きのある造形が見てとれます。
紅葉の落ち葉が作り出す絶妙なレイアウトバランスと同じです。

ひとつのストーリーを
持たせてみる

――「網戸パッチDECO」は、家族で取り組まれた方もいらっしゃいます。お子さんと作る時はどのようなことに気をつけるといいですか。

大人がデザインを教えないようにしてみてください。子供の自由な発想が偶然の美しさを作りだします。
たとえば富士山。網戸の真ん中に三角の富士山があってもおもしろい。僕の富士山はてっぺんがギザギザなんですが、まっすぐの富士山をイメージする人もいるでしょうしね。
そうやって、思うこと、見たこと、経験したことを自分なりの表現でとにかく作ってみる。その上で、ひとつのストーリーを持たせてみてはどうでしょうか。
横一列にホッチキス、セロテープ、ハサミが並んでいても楽しい。自分の趣味やお気に入りを盛り込んでみてください。カラーも7色増えたということで、子供さんにはカラフルなものも楽しめると思いますよ。
自由に発想して楽しめたら最高ですね。

――プロの目からみたデザイン談義、とても楽しかったです。ありがとうございました。